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第二章・4
「掃除は、終わりました」
翌朝、駿佑は元町に報告した。
「立会人は、聖くんです」
「はい。間違いなく、完了しました」
そんな報告を聞いて、元町は両手を合わせて拝む仕草をした。
「これでミケは、極楽へ行けるかねぇ」
そして、茶封筒を駿佑に差し出した。
「掃除代です」
中を確かめると、二万円入っていた。
「年金暮らしで、それくらいしか……。ごめんなさい」
「いえ、そのお気持ちだけで充分です」
行くぞ、と駿佑は聖の背を押し歩き始めた。
「掃除は済んだが、それでネコが生き返るわけじゃない。聖くんなら、この後どうする?」
「考えは、あります。付き合ってくれますか?」
聖はその日学校をサボって、キャリーバッグを買い駿佑と共に保健所へと向かった。
「すみません。ネコがいたら、もらい受けたいんですけど」
殺処分を待つイヌやネコが、保健所には数匹保護されていた。
「飛沢さん、どの子がいいでしょうか?」
「そこの痩せた黒ネコだな。君にそっくりだ」
「真っ黒なところは、飛沢さん似ですよ」
二人で初めてくすりと笑い、黒ネコを引き取った。
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