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第二章・6
「飛沢さん、これからどうするんですか?」
「その事なんだが、ひとつお願いがある」
何でしょう、とあどけない顔の聖だ。
「実はこの街へ来たのは、ネコの件を掃除するためじゃない。もう少し、大きな依頼を受けてのことなんだ」
「そうでしたか」
「今度の掃除は手がかかるので、準備もいろいろ大変だ。そこで、拠点が必要になる」
君のマンションに、間借りさせてもらえないだろうか。
駿佑にそう言われ、聖は胸がとくんと鳴った。
(飛沢さんが、僕のところに……!)
「ダメか?」
間が開いたので、駿佑はそう言った。
「あ、いえ! 大丈夫です、大歓迎です!」
「そうか、良かった」
少しだけ口の端を上げて微笑む駿佑は、優しい目をしている。
とても昨夜、あんな恐ろしい掃除をしでかした人間とは思えない。
寂しがり屋の聖は、喜んで駿佑を受け入れた。
何か新しい風が吹く予感を、覚えていた。
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