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第三章・4

「ずいぶん買いましたね。持てますか?」 「実は駐車場に、車を置いてある。取りに行っても構わないか?」  どうぞ、と聖がついていった先には、メルセデスのオフローダーが待っていた。  何があっても壊れそうにない、屈強な車だ。 「わぁ、カッコいい」 「乗れ」  運転しながら、駿佑は聖に訊ねた。 「マンションに、駐車場は借りてあるか?」 「一台分、借りてます。使ったことないけど」 「そうか」  これも、いつか父か母が来てくれるかもしれない、との願望の表れなのだろう。  聖の孤独をひしひしと感じながら、駿佑は車を走らせた。 「マンションと方角が違いますよ?」 「せっかく二人で外へ出たからな。ランチでも、どうだ?」  車は、海沿いの静かなカフェに止まった。 「きれいなお店」 「飯も美味い」  ドアベルを鳴らして中に入ると、人の良さそうなマスターが迎えてくれた。  窓から海のきらめきを眺めながら、カフェ特製の季節のランチを食べる。  聖は、夢を見ているようだった。  

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