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第三章・5

 夜は駿佑が腕を振るって、御馳走をこしらえてくれた。  ミックスパスタのオーブン焼き、サワークリームのサーモン巻き、トマトとズッキーニのピザ、タラモサラダ。  デザートに、ブルーベリーパイまで飛び出した。 「すごい。何かの記念日みたいですね!」 「私と聖くんが同居を始めた記念日、ということでどうだ?」 「あ……」  白い頬を、少し染める聖が可愛い。 (昨日は素敵な殺し文句をお見舞いされたからな。お返しだ)  にっこり微笑んだ駿佑は、食事を終えた聖に小箱を渡した。 「それから、これ。ぼちぼち飲んでいた方がいい」 「発情抑制剤。でも、僕、発情期はまだ来てません」 「αの私と一緒に暮らすんだ。誘発されて、始まるかもしれない」 「はい」 (でも僕、飛沢さんとなら……)  中学生で、すでにセックスは体験済みの聖だ。  駿佑との間に何かあっても、構わないとさえ思っていた。  そんな聖の考えを読んだように、駿佑は付け足した。

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