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第三章・6
「言っておくが、私は聖くんに何もしないぞ。子どもには、興味がない」
「僕はもう、子どもじゃありません」
「大人から見れば、まだまだ子どもだ」
それだけ言い残し、駿佑はバスルームに消えてしまった。
「何か、悔しいな」
だが、自分の体を思えば、それも仕方のないことだ。
痩せっぽちの青白いΩ。
これでは抱く気も失せるだろう。
「もう少し体を作って、フェロモンが出るようになったら、抱いてくれるのかな」
しかし、それもまだまだ先の話だろう。
駿佑の言う、『大きな掃除』が終われば、彼もまたどこか別の街に流れてゆく。
それを考えると、聖の胸は痛く疼いた。
「僕はまた、一人ぼっちになってしまう」
いや、と首を振った。
「まだ始まったばかりなんだ。今から別れのことなんか考えちゃ、ダメだ」
風呂上がりの駿佑が寒くないようにと、寝室のエアコンをオンにした。
ルームフレグランスを焚いて、彼に心地よい眠りを提供しようと心を配った。
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