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第三章・7

 駿佑が聖と同居を始めてから、二週間が過ぎた。 「目に見えて、肌の色つやが良くなったな、聖くん」 「駿佑さんが、毎日三食美味しいものを食べさせてくれるからですよ」  痩せ型は変わりないが、病的な青白さの消えた聖だ。  頬や唇の血色はよく、ぱさぱさだった栗色の髪も、つやが出てきた。 「はい、今日の弁当」 「ありがとうございます」  駿佑の作ってくれた弁当を持って登校する、聖。  お昼休みが楽しみで、学校に行く事も苦ではなくなってきた。 「今日は、ドライカレーだぁ」  浮き浮きと、聖は弁当を食べた。  少し小さめの箱に、デザートの果物が入れてある。  それが辛くなった口の中を爽やかに癒してくれて、聖の昼食はおしまいだ。 「ごちそうさまでした」  聖は両手を合わせ、駿佑を思った。  自分より早起きをして、朝食の用意とお弁当を作ってくれる彼から、聖は確かな好意を感じていた。  現に、『飛沢さん』と呼んでいたのを『駿佑さん』に替えることを許された。  これが好意でなくて、何だろう。 「僕も、駿佑さんのことが大好き」  でも、それは言葉にしていいのだろうか。  言葉にすると、駿佑が消えてしまいそうな、そんな不吉な予感を覚えてしまう。  言いたい。  でも、言えない。  多感な聖の胸の内は、マーブル模様になっていた。

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