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第三章・8
「おい、見ろよ。3組のΩ」
「白井、だっけ?」
「最近、色気が出てきたと思わねえ?」
「同感同感。何かこう、艶っぽい」
廊下の窓から聖を見る、3人の二年生。
この学校ではΩが珍しいため、時々こうして見て回っているβのグループだ。
「そろそろ、いいんじゃねえの?」
「ヤッっちゃう?」
「しばらくご無沙汰してるもんな。俺、かなり溜まってるよ」
彼らは『Ω狩り』と称して、校内のΩを狙っては襲うならず者だった。
被害に遇ったΩは、恐怖から誰にも打ち明けられずにいる。
もし、学校に訴え出たとしても、『フェロモンでΩの方から誘った』と結論付けられてしまうのだ。
諦めから、口をつぐんでしまうΩもいた。
「駿佑さんに、何かお礼がしたいな。何がいいかな」
そんな無邪気なことを考える聖を、凶悪の視線がからめとっていた。
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