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第四章 凌辱
『大事なおはなしがあるので、放課後に体育倉庫前へ来てください』
そんな短い手紙を、聖はある日受け取った。
下足棟の靴箱に入れられたそれは、古風なラブレターの雰囲気を醸していた。
白の便箋に書かれた文字はていねいで美しく、悪意のかけらも感じられなかった。
「何だろう。もしかして、告白?」
それには首をかしげる、聖だ。
成績もスポーツも、下ではないが抜きんでたところもない。
「そんな僕に、告白なんてないよね」
ただ最近の自分は駿佑のおかげで血色がよく、表情も明るくなった。
それに気づいた誰かが、目を付けたのかもしれない。
そんな風に、考えた。
「僕は駿佑さんのことが好きだから、お断りしなきゃならないな」
でも、相手を傷つけたくはない。
どうやってお断りしようか、などと考えているうちに、あっという間に放課後になってしまった。
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