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第五章・2
「手筈は整えた。後は、聖があの三人を私の教えた雑居ビルに連れて来ればいい」
「僕、怖いです。駿佑さん」
聖は、震えていた。
もう、あの三人の顔も見たくない。
駿佑がでっち上げた、偽のスタジオに行く前に、また乱暴されるのではないか。
そんな恐れも抱いていた。
「奴らを掃除するためだ。少しだけ、我慢だよ」
「また、ゴムホースで殴るんですか?」
「奴らにはそれすら生ぬるい」
私の胸に咲いた白い花を、穢した。
相応の罰を受けてもらう。
駿佑は、そんな風に考えていた。
そして、震えの止まらない聖の頬に、そっと手のひらを添わせた。
「あったかい」
「聖くん、目を閉じて」
聖が瞼を閉じると、唇に柔らかな感触が。
(あ……!)
駿佑さんが、僕にキスを!?
それは一瞬のことで、すぐに彼は離れてしまった。
「おまじないだ」
「……はい」
「もう、怖くないな?」
「はい」
聖は、三人に呼び出された公園へ向かった。
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