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第五章・7
目が覚めた時、少年たちは慌てて自分の腹を見た。
まさか、中に蛇が……!
「安心しろ。蛇は全部回収した」
無機質な駿佑の声が、地獄の底から響いてくる。
声も出せず、顔面蒼白で歯を鳴らしていると、この背の高い謎の男は鋭利なサバイバルナイフを取り出した。
もう失禁するだけの尿は残っていないはずなのに、それでも漏らす三人だ。
「無理やり犯される人間の気持ちが解ったか?」
そして、ナイフの刃先を少年の左胸に当てた。
「誰にも言うなよ。言えば、命はないぞ」
刃をひらめかせ書かれるのは、『屑』の一文字。
「人間のクズめが」
涙と洟と涎、そして尿にまみれた三人は、昏倒した。
全てが終わり、ようやく駿佑は手首の縛めを解いた。
気が付けば衣服を着て、この忌まわしい雑居ビルから逃げ出すだろう。
「その前に」
駿佑は、三人のスマホをバッグから取り出し、足で踏みつけ壊した。
これで聖や他のΩの動画や画像は、おしまいだ。
「掃除は、完了だ」
窓際で身をすくめて一部始終を見ていた聖に、駿佑は声をかけた。
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