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第五章・9
途中アニマルショップへ立ち寄りレンタルの蛇を返し、マンションに到着した。
「聖くん、まだ夕刻だけど、一杯やってもいいか?」
「お酒、ですか」
どうぞ、と聖が勧めると、駿佑はビールではなくジンをグラスに注いだ。
くい、とグラスを傾ける駿佑を見て、聖は思った。
(お酒で、掃除の穢れを清めてるんだな)
今回は、僕のせいで。
それを思うと、聖の胸は痛んだ。
「あの、駿佑さん」
「ああ、すまない。一杯だけだから」
すぐに、夕食の支度をするよ、と立ち上がりかけた駿佑の肩に手を置き、聖はソファに座らせた。
そして、そっとキスをした。
「……聖くん」
「穢れは、今夜僕に清めさせてください」
「待ってくれ。それは」
「お風呂、入ってきます」
『穢れは、今夜僕に清めさせてください』
それって、つまり……。
駿佑は、とまどった。
(聖くんは、まだ少年だぞ?)
どうしよう。
グラスに残ったジンを干すことも忘れ、駿佑はかたまってしまっていた。
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