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第六章・8
「聖、どうだ?」
「……動けません」
「悦かったぞ」
「……すごかったです」
指先しか動かせない聖の体を、駿佑はウェットティッシュで拭き清めてあげた。
彼の体は、自ら放った精でひどく汚れていた。
それらを、駿佑はていねいに拭いてやった。
三人組に汚された心も、清めるかのように。
「聖はこれでよかったのか? 納得いったか?」
「……今は何も考えられません」
ふっ、と駿佑は笑った。
どうやら薬が効きすぎたようだ。
「来い。腕枕してやる」
甘えるように擦り寄って来た聖を、駿佑は懐に抱いた。
「明日の朝、何が食べたい?」
「……の、……が、……」
最後は、聞き取れなかった。
それだけクタクタに疲れて、聖は眠ってしまったのだ。
「これでよかったんだろう、多分」
駿佑も、瞼を閉じた。
身を寄せ合って眠るベッドは、まるで番の巣のようだった。
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