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第七章 特別な日

 駿佑が外出から帰宅すると、普段はキッチンに入らない聖が何やらごそごそやっていた。 「何、やってる?」 「来ちゃダメです!」 「しかし、夕食の支度を」 「あと30分、待ってください!」  何なんだ。  こんなことが、三日ほど前から続いている。  訊いても、秘密です、としか返ってこない。 「まあ、じきに飽きるだろう」  おそらく料理に興味がわいて、何やら失敗作をこしらえているに違いない。  私の料理の腕に近づくには、それなりの……」 「入らないでください!」  ふう、と溜息をつき、駿佑はリビングのソファに腰を下ろした。  タブレットを取り出し、新しく入手したターゲットの情報を整理する。 「どの手で絡めていくか……」  方法はいくつかあるが、確実に仕留められる手を選ばなくてはならない。  考えていると、聖がキッチンからようやく出てきた。 「駿佑さん、僕お腹すきました」 「やれやれ」  タブレットを閉じ、駿佑はようやくキッチンに入ることが許された。

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