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第七章・3
「美味しい!」
「聖は何でも美味しいと言ってくれるから、料理の甲斐があるな」
だって、本当に美味しいんですから、と聖は二つ目のロールキャベツを口にした。
「どんどん食べろ。もっと体をつくるんだ」
「はい。でも……」
「何だ?」
「いえ、何でもありません」
この年齢で体つきが大人びてきたら、きっと発情期を迎える。
(誰にでも盛るような人間に、僕はなりたくない)
そんな風に、聖は考えていた。
(僕が許せる人は、……駿佑さんしかいないんだから)
目の前で、もくもくと食事を摂る大人の男を、聖は見た。
(あれ?)
そんな憧れの駿佑であるはずが、頬にご飯粒をつけている。
無意識のうちに、聖はそれに手を伸ばした。
「ご飯、付いてます」
「ん? ああ、すまない」
聖はそれを、これまた無意識のうちにぱくりと口にした。
「……!」
途端に、駿佑の耳は熱くなった。
(何だ、この感情は!)
初めて味わう感覚。
これが、照れる、ということか!?
「どうしたんですか、駿佑さん」
「あ、いや。ちょっと、な」
聖の甘やかな仕草に、駿佑は生まれて初めて大いに照れた。
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