53 / 118
第七章・5
「はぁ……」
深く息をつく駿佑に、聖は不安になった。
「あの。トリュフは嫌いでしたか?」
いや、と駿佑は眉間に指をぐりぐり当てた。
「感動だ……」
ぱっ、と聖は表情を輝かせた。
「よかった!」
「一つ、いただいてもいいか」
「全部、駿佑さんのチョコですよ?」
まぁるいトリュフを、駿佑は一つ摘まんだ。
軽く瞼を閉じ、口の中に入れる。
ほろ苦いビターチョコの風味が、いっぱいに広がった。
アクセントに洋酒が使ってある。
これは、ブランデーか?
「ごめんなさい。駿佑さんのお酒、少しいただきました」
「こういうことなら、大歓迎だ」
美味しいよ。
心から、そう褒めた。
ともだちにシェアしよう!