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第七章・6

 一つ食べたきりで、すぐに蓋をしようとする駿佑に、聖は不安になった。 「あの。美味しかったなら、もっと食べたらどうですか?」  それとも。 「ホントは、美味しくなかった、とか……」 「いや、そういう訳ではなく。もったいなくて、食べられないんだ」  なぜか汗をかきながら、駿佑はそう言った。  何だ、この感情は。  昨日も、同じような気分になったぞ。  耳を赤くして、少しうつむく駿佑を見て、聖は悟った。 「駿佑さん、もしかして照れてます?」 「いや、その。うん、まあ。多分、そうなんだろうな」  その言葉に、聖も照れた。  まさか、この大人の男性が、僕のチョコで照れるだなんて! 「聖、照れ隠しをしてもいいか?」 「照れ隠し?」  照れ隠しというものは、わざわざ相手に伝えてからするようなものだっけ?  駿佑は、箱からトリュフをもう一つ摘まんだ。  口に含んで、聖の肩に手を置いて。 「駿佑さ……」  深く繋がる、キスをした。

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