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第七章・8

「聖、お腹は空いているか?」 「いいえ。胸がいっぱいです」  じゃあ、少し夕食が遅くなっても構わないな?  その意味が解らない聖では、なかった。  自分から上着を脱ぎ、シャツのボタンを一つだけ外した。 「聖」 「駿佑さん」  ゆっくりと駿佑は、聖に覆いかぶさって行った。  聖も、されるがままにソファに倒れ込んだ。  もう口の中にチョコはないが、その残り香がひどく甘い。  甘い、甘いキス。 「駿佑さん、キスばかり何回するんですか?」 「好きなだけ、させてくれ」  今日は、バレンタインデーなんだろう? 「好きな人に、チョコレートを贈る日ですよ」 「聖は、私が好きなのか」 「好きです」 「私も、聖が好きだ」  後は、何も言わずにキスを続けた。  キスの続きも、素敵に甘かった。

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