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第八章 発情期

 少し眠気の来る、午後の授業。  聖は、突然教師に名前を呼ばれた。 「白井、ちょっと教壇へ来なさい」 「はい」  何だろう。  ぼんやり、駿佑さんのことを考えていたことが、バレたのかな?  行ってみると、教師は体をかがめて小声で言った。 「すぐに、保健室へ行きなさい。フェロモンが出ているかもしれない」 「え?」 「早く」 「は、はい」  廊下を小走りで、聖は駆けた。  保健室へ入ると、養護教諭がすぐに薬棚から小箱を取り出した。 「白井くん、発情抑制剤は飲んでる?」 「いいえ。僕はまだ発情期を迎えていませんから」  じゃあ、これを飲みなさい、と養護教諭は錠剤を渡してきた。 「でも、僕」 「始まったみたいよ、発情期。かすかにフェロモンの気配がするわ」  聖の胸は、とたんにざわめいた。

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