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第九章 話し合い
診察室までついていく、と言う駿佑を、聖はやんわりと止めた。
「やだなぁ。僕、子どもじゃありません」
「しかしだな」
「大丈夫です、ったら」
聖に訪れた発情期。
それを深く理解するため、彼は医院を訪ねていた。
「白井 聖くん。初めての発情を迎えた、ということだね?」
「はい」
「発情期は、Ωならば誰にでも訪れる。決して不安になったりすることはないよ」
「ありがとうございます」
ただ、と医師は少し小声になった。
「気を付けないと、発情がもとで望まない妊娠をすることもある。しっかり手綱を取らなきゃならない」
「はい」
「この薬を処方しよう。発情抑制剤だ。フェロモンを抑える働きがある」
「あの」
ここでようやく、聖は医師に質問を投げかけた。
「このお薬を飲んでいれば、妊娠しないんですか?」
「そうではない。セックスをすれば、妊娠することもあるよ。これはあくまで、フェロモンを抑制して、発情を抑える薬だ」
だから、ちゃんと避妊をして……、と続ける医師を、聖は遮った。
「スキンを着けなくても、避妊できる方法はありますか?」
年齢の割には言いにくいことをハッキリと口にする聖に、医師は少々面食らった。
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