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第十章・3
聖に腕枕をし、駿佑はぼんやりとつぶやいた。
「二週間経って帰ってきたら、聖は驚くかもしれないな」
「駿佑さん、驚かないので無事に帰ってきてください」
帰って来てくれさえすれば、それだけで僕は嬉しいんです。
駿佑の懐に、さらに深く潜り込む聖だ。
そんな彼の肩を優しく撫でながら、駿佑は誓った。
「必ず、帰って来る。そして、無事に帰って来ることができたら、その時は掃除が半分済んだと思ってくれ」
「はい」
聖は、瞼を閉じて駿佑の言葉を反芻した。
『無事に帰って来ることができたら、その時は掃除が半分済んだと思ってくれ』
それは、指定暴力団・洪隆会の崩壊が近いことを意味する。
(この街から暴力団がいなくなれば、それは良いことなんだろうけど)
でも、何も駿佑が危険を冒してまでやる仕事ではない、とも思う。
(駿佑さん、正義の味方なんかでなくてもいいから。途中で諦めてもいいから)
だから、無事に帰って来て。
それだけを一身に願いながら、聖は眠りに就いた。
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