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第十章・4
駿佑が外出してから、二週間。
聖は彼の言いつけを守って、食事だけはきちんと摂った。
自分で料理することは難しいので、弁当を買ってきて食べたり、レトルト食品に頼ったりはしたが。
そして、二週間目の夜、ついに駿佑が帰ってきた。
「おかえりなさい!」
聖は目を輝かせ、駿佑の首にかじりついた。
「ただいま」
ああ、駿佑さん。
駿佑さんの匂いだ。
聖はぐりぐりと、彼の胸に頭を擦り付けた。
まるでマーキングでもするかのように。
「無事だったんですね。仕事、巧く行ったんですね」
「ああ、何とかな」
それより、と駿佑は聖に向き直った。
「食事は、ちゃんと摂ってたか? 少し、痩せたんじゃないのか?」
「大丈夫です。ちゃんと、食べてました」
本当かな、と駿佑は聖の体をぽんぽんと叩いた。
「一緒に、風呂に入ろう。聖の体をチェックしてやる」
一緒に、お風呂に!?
(お風呂で、エッチするのかな。初めてだな)
「見てもらいたいものも、あるしな」
(何だろう。駿佑さんの裸なんて、何度も見てるのに)
いぶかしい所はあるが、久々の駿佑とのふれあいだ。
聖は上機嫌で、バスタブに湯を張った。
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