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第十一章・4

「明日の午後に、聖のマンションへ配達してもらうからな」 「はい」  聖は、駿佑の大きな手を握った。 「ありがとうございます!」 「お、おい」 「手をつないで、残りの蘭を見て回ってもいいですか?」 「うん……」  ここは、天国か。  見たこともない美しい花々が咲き誇る中を、愛しい人と手をつないで歩く。  ここが天国でなくて、何だろう。 「……さん。駿佑さん!」 「あ? ああ、何だ?」  出口です、と聖は名残惜し気につないだ手を離した。 「楽しかったな」 「はい」  また来よう、と言うと、聖は嬉しそうな顔をした。 「良かった。駿佑さんには退屈かも、って思ってたんです」 「そんなことは、ない」  君と一緒なら、どこに居ても楽しい。  もう一度、駿佑は聖の手を握った。  優しく握手をし、二人は植物園を後にした。

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