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第十三章・3
『飛沢が、撃たれました』
「えっ」
『暴力団の組員に撃たれ、昏睡状態です』
「……!」
へなへなと、聖はその場にうずくまってしまった。
大島は、その姿をまるで見ているかのように励ましてきた。
『手術は成功しています。ただ出血が多く、もしもし? 大丈夫ですか?』
「は、はい。あの、病院はどこでしょうか?」
『しっかりしてください。あなたが頼りです。彼の傍で、こちらに戻ってくるように話しかけてやってください』
通話を終え、聖の目からどっと涙があふれてきた。
嗚咽が漏れそうになる。
だが彼はそれをぐっとこらえ、てきぱきと仕度を始めた。
そして5分後には、タクシーに乗り込んでいた。
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