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第十四章・8
「予定では、今夜食事をするレストランで渡そうと思っていたんだが。グリーンが大好きな聖なら、植物園でのプロポーズの方が思い出に残るかと」
聖は、駿佑に指輪を手渡した。
「……つけてくれますか?」
ひとつうなずき、駿佑は指輪を聖の薬指に通した。
「結婚して欲しい、聖」
「ありがとう、駿佑さん」
二人で、どちらからともなく抱き合った。
温かな、ぬくもり。
出会った頃には、互いに持たなかった大切なものを、今は充分過ぎるほど持っている。
そしてそれは、駿佑は聖に、聖は駿佑に与えてもらったものなのだ。
「聖に出会えて、本当に良かった」
「僕もです、駿佑さん」
でなければ、今でも裏社会で掃除屋をやって生きていた。
でなければ、今でも寂しい目をした青白いΩだった。
「愛してるよ、聖」
「愛してます、駿佑さん」
今度は、自然に口づけを交わした。
これからは、いや、これからも、二人で共に歩んで行く。
そんな、誓いのキスだった。
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