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第十四章・9

 ホテルのレストランで季節の懐石を食べた二人は、そのままスウィートルームへと進んだ。 「……まさか、部屋までとってるなんて」 「聖、私の行動パターンに、まだ知らないことがあったのか」  では、これからがますます楽しみだな、と駿佑はカーテンを開けた。  途端に、聖の目の前に星空のような夜景が現れた。 「うわぁ! きれい!」  まるで、部屋全体がプラネタリウムのようだ。 「気に入ってくれたか?」 「はい!」  うっとりと夜景を眺める聖を、駿佑は背中からそっと抱いた。 「不思議なものだ。こんなにたくさんの灯りの元に、たくさんの人がいるのに」 「なぜ、僕らはピンポイントで出会ったんでしょうね」  運命だとか便利な言葉は使いたくない駿佑だったが、その他に思いつかない自分がもどかしい。 「運命、って素直に考えてもいいですか?」 「そうだな」  運命の番。  単なる都市伝説と思っていたが、実在するとは。  そしてそれが、私と聖だとは。 「神に感謝するよ」  らしくない、と考えながらも、駿佑はそう言っていた。
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