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【4000アクセス記念】痴情波デヂタル慎重派

4000hit、4000に因めなかった。 +++  少しいかがわしいドラマだが、深夜帯のものとはいえ、地上波放送なのだから、家族と見るには気拙いけれど、それはストーリーに華を添えるくらいのもので、メインではない。つまり、そういうビデオとは違い。ドラマを観ている。2人で。  視界の端に映るそわそわした仕草が気になる。日頃から多動な傾向はあるが、それとは別に…… "先生のコトが好き……"  制服姿の女子高生が5つも6つも歳の離れた教師にそんなふうに言う。役者は確か、俺等と1つくらいしか変わらなかったはずだ。だから成人が制服を着て、もしかすると同い年くらいの役者は相手に「先生」と呼んでいる。大人になったらそんなことはままあるが。 "先生……先生……"  媚びた声で女子高生が教師を呼ぶ。それでいて媚びていると思うのは視聴者たちで、きっとドラマの中の女子高生も呼ばれた側の教師だって、媚びているつもりもなければ媚びを売られているつもりもないのだろう。  女子高生が忍び込んだ夜の学校の廊下を駆け出す。俺のほうも異様な焦りがあった。番宣で観た例のシーンに突入するのではないかと。  視界の端のそわそわしたリズムが俺をさらに焦らせる。 "先生……先生……!"  女子高生は走り出して、教師も教師で腕を開いて彼女を受け止める。そしてそのまま口付ける。 「きゃー!」  隣のそわそわしたやつが、ふざけた悲鳴を上げてチャンネルを変えた。そして最終的にはテレビを消してしまった。俺がこのドラマをいかがわしいものと決定させた、例のシーンには辿り着かずに。だからそれは、上は裸で2人ベッドに並んでいるシーンに。  よかったのかも知れない。焦りから急に解放された自分に気付く。 「先生、先生」  隣のやつがまたふざけだして、俺の腕に抱きついた。今観たドラマにはなかった脚色を大いに加えて、こいつは俺の腕に、筋肉質な胸板をすりつける。背は低いが運動の好きなこいつはどこもかしこも鍛えられている。それでいてネコみたいに細くてしなやかだ。 「先生のコトが好き……わはは………は?」  こいつはけらけら笑っている。付き合っている自覚が足らない。俺がいかにこいつに惚れているのか、こいつは分かっていない。  俺はあのドラマの中の教師みたいに腕を開いて捕まえた。 「あ、わっ!」  もしこれがドラマなら、このあとのことは、放送できない。誰にも見せない。こいつのキスがどれだけかわいいかも。 +++ 1000字弱 抑圧激重ベタ惚れ寡黙美青年×お調子者スポーティ 2022.9.10

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