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【9000アクセス記念】ストベリボーイ

※全年齢の割に下ネタ(?)テイスト ***  あからさまな物言いというか、露骨な単語は、やっぱり恥ずかしい。思うのならとにかく、口にして、自分の声で聞くのが一番、何か、禁忌に触れるような畏れがある。  とはいえ、純情ぶらずとも、やることはやっているのだけれども。  そういう心理は俺だけではないのか、数々の婉曲表現や比喩があるわけだけれども、ときにそれはあまりにも認識に結びつき過ぎて、直接的であったりもする。そしてそれを聞けば、連想ゲームは容易くなったりするわけだ。 「ゴムやるよ、ゴム」  不埒な俺はぎくりとしたけれど、目で見て理解した。  彼の髪が伸びてきているな、とは思った。前髪を下ろすと幼く見えて、これはこれでいいと思うのは俺の都合。相手は実生活の中で、その毛先を鬱陶しがっている。かといって、まだ理髪店に行く予定もない模様。  彼が差し出したのは、女児が使うようなイチゴのワンポイントの付いた髪ゴムだ。 「2つ付いてきたからやるよ。かわいいだろ」  彼はよく心得ているし、頓着がなかった。けれど俺にはある。陰気で暗い俺がそんなイチゴの髪ゴムを使ったところで、イタいやつだ。 「似合うと思うぜ、ギャップ萌え。それにお(そろ)だし」  この言葉に俺は弱い。指輪なんて付けるのは仰々しいけれど、マーキングしておきたいのは男の(さが)だと思う。けれどペアルックもなんだか……体型や雰囲気が違う俺たちの、この差を無難に埋めるファッションなど限られている。 「そ、そうか……」  そういう物は、告白同様、俺から渡してみたかったけれど、彼から貰うのも嬉しいことには変わりない。  そんな会話から数日。  彼は慌てて俺のところにやってきた。 「ゴムない?」  ゴム、と言われてまた俺は戸惑ってしまった。二者択一。髪ゴムか、はたまた……  それはゴムでなくてもそう呼ばれる。  俺たちの距離が0になることはない。それは切ないことではない。俺にとっては。企業努力の薄い隔たりで断ち切れるほど、その(しがらみ)は甘くないはずなのだ。真っ当な関係なら。  男同士、だから逆に外す理由がないくらいだった。少なくとも俺には。  つまり俺がそれを欠かすはずはなく。 「さっき風呂場に置いてなかったか……?」  素直な目は、瞬時に思い出したことを俺に伝える。 「そうだった!さんきゅ!」    俺たちは閉鎖的な仲だ。だからいいのだろうか?いやいや、話し合うべきだ。野暮だろうか?  今夜はそこのところ、話してみるか?なんて意気込む。 *** 於fujossy9000アクセス記念。 チェリーボーイの派生か? 2023.5.6

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