12 / 18
第12話 ドツボ
そもそも、大体どう説得したら良いか全く決まっていないので、話を進めたい方向すら、見えない。
――――…とりあえず、「友達」という枠に、郁巳の気持ちを、収められれば、とは思って、スタートしてみたけれど。
……………もう、ギブアップしたい…。
チャレンジしてほんの少ししか経っていないのに、泰誠が心底そう思った、その時。
「…あのさ。 泰誠?」
「…?」
郁巳が、ちょっと息を止めてから。
思い切ったように。泰誠を見つめたまま、話し始めた。
「…オレ、お前の事、今はどう考えても好きだって、結論がでちゃってるんだ。恋人とかは…実はちょっとよくわかんねえけど」
「――――…」
「…お前の一番で居たいって、すげえ思うし… ずっと、側に居て良いなら、居たいし」
そんなの、オレだって、そうだけど。
……ただ、それを恋愛感情だと言われると……
そしたら、オレのこの感情だって、そうなってしまう。
「な、郁巳。それって、やっぱり、友達じゃないのか?」
「………んー…」
郁巳はしばし唸っていたけれど。その内。
「――――…だって、でも……」
「ん?」
「……こないだお前と話してからも、色々考えてたんだけど… やっぱり、オレ」
「……?」
「…オレ、お前に彼女出来たら絶対嫌だって、思うんだよな…オレ」
戸惑いつつ、そう言った郁巳。
「…友達に、そんな事――――…思わねえだろ?」
「――――…ん…?」
………郁巳に彼女出来たら、嫌だって?
…オレもちょっと思うんだけど。
嫌、というか…取られてしまうような気がするような……?
こないだも言ったけど… やっぱり友達だって、嫉妬したりする位あるんじゃないんだろうか?
オレだって、その気持ちは、分かってしまう。
…いや、だから。
それを恋愛感情とするなら、オレのもそうなってしまう。
そうじゃ、なくて――――……?
論理の組立方が、全く分からない。
考えようとすればするほど、ドツボにはまっていく感覚。
自分も、郁巳と、同じように考えているような、気がしてしまう。
ともだちにシェアしよう!