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観光中

「混んできたね」 「そうだな。まあ、一番混むとこだしな」 「これからどうする?」 「もう行きたいとこは行ったし、明日は別行動だったよな? じゃあ、今日はオアフん中、色々回る?」 「うん。それでいいよ」 「俺、あれ、もう1回食べたいんだけど。あの、エビのやつ」 「ああ、ガーリック・シュリンプね」 「そんな名前だったっけ? エビなんとかじゃなかったか?」 「……瑛ちゃん。エビは日本語じゃん」 「……そんな小洒落た名前付けてもエビはエビだし」 「どんな理屈、それ。瑛ちゃんてほんと英語苦手だよね。ヤバいレベル」 「うっさい、お前」 「ちょっ、痛いって!」  自分の中学生(もしくはもっと下)並みの英語力を馬鹿にされた腹いせに山本を殴りながら、一緒にバス乗り場へと歩いていく。  ハワイでの楽しい時間もあっという間だった。なるべく節約を心がけて、それでもどうしても行きたいところはなんとか行くことができた。  ハワイ島の火山は圧巻だったし、モロカイ島の渓谷では雄大な景色を堪能できた。食べ物もおいしかったし、人も優しかった。そんないつもと違う生活を満喫して、旅行は二晩を残すのみとなっていた。  明日はお互いやりたいことをやろう、ということになり、瑛斗はひとりでスキューバダイビングを楽しむ予定だった。山本はパワースポット巡りがしたいと言っていた。  明後日の午前中には日本へ発たなくてはならない。  できる限り目いっぱい楽しもうと、今日も午前中は山本と徒歩やバスで色々な場所を巡った。午後になって、休憩がてらのんびりと昼食を取ったあと、次はどこに行こうかと相談していたところで山本が思いついたかのように提案してきた。 「ダイアモンドヘッド登ろうよ」  ダイアモンドヘッドはオアフ島にあるハワイのシンボル的な存在の死火山だ。有名な観光名所の1つなのにそう言えばまだ訪れていなかったなと気づく。しかしそんな思いつきで簡単に登れるものなのかと思い調べてみると、2時間弱で往復可能らしい。本格的な登山というよりは、ハイキングに近い感覚で登れるようだった。 「じゃあ、行くか」  瑛斗と山本は一旦ホテルに戻った。山登りができそうな服装に着替え、再び出発した。

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