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ダイヤモンドヘッド
入場料を支払い登山口に着くと、料金所でもらった道案内の説明書を参考にしながらさっそく上り始める。
最初は舗装された道だったので楽に歩けたが、途中から未舗装になったせいか進む内に息が上がってきた。ところどころ休憩を挟んで、1時間と少しで頂上に到着した。
ダイアモンドヘッドの山頂から見下ろす眺めは最高だった。ワイキキ全体が一望でき、エメラルドグリーンの海や街中に悠々と立ち並ぶ背の高いビルたちが見える。海側の反対には壮大な山々も見え、それはまさに、自然と人工物が融合した360度のパノラマだった。
「すげぇな」
「そうだね」
瑛斗も山本も言葉を失って、しばらくその景色を眺めていた。あ、写真撮ろ。と山本が思い出したように呟いて、カメラを手にした。
山本が写真を撮っている間、瑛斗はぼうっと下に広がる景色を見ていた。景色の一部に、高級そうな家々が並んでいる地区があった。よく見るとどの家にもプールが付いている。
あんな家に住めたら毎日楽しいよな。俺には縁のない世界だけど。
そんなことをただ漠然と考えていると、山本が近づいてきた。
「瑛ちゃん、お待たせ。そろそろ行く?」
「うん」
また景色を眺めながらゆっくりと下山を始めた。そうして麓へと着くころには、時刻はすでに夕方近くになっていた。どうしようかと相談した結果、この辺りで早めの夕食を済ませて、それからホテルへ帰ることにした。
値段が手頃そうなビーチ沿いのダイニングカフェに入って、夕食を食べる。ハワイでの食事はどこへ行っても量が半端なかった。注文したバーガーもボリュームが凄くて、食が細くない瑛斗でも全て食べ終えたころには満腹で苦しいほどだった。
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