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プライベートチャーター機で
「着いた」
そう言われて窓から外を見ると横長の建物が見えてきた。その上を飛行機が一定間隔で離陸と着陸を繰り返している。瑛斗がハワイに到着した時に最初に足を踏み入れた場所なので、その建物にはもちろん見覚えがあった。どうやらホノルルの空港近くに連れて来られたらしい。
そのまま空港に行くのかと思ったが、車は空港を逸れて別の場所へと向かった。到着したところも小さいがどうやら飛行場のようだった。ところどころに小型の飛行機が格納されている。少し離れたところで待機していたスタッフらしき人たちが近づいてきた。
相良が慣れた動きで車を降りると助手席のドアを開けた。
「どこ行くの?」
エスコートされながら車を降りて尋ねる。
「どこ行きたい?」
「え? 俺はどこでもいいけど……」
「なら、モロカイかカウアイだったらどっちがいい?」
「モロカイはもう行ったから……」
「だったら、カウアイな」
恭しい態度で迎えるスタッフたちに相良がなにやら伝えた。すると、スタッフたちはわらわらと蜘蛛の子を散らすように去っていった。そしてその30分後ぐらいには、相良とマッチョなボディーガードと一緒に、瑛斗はプライベートチャーター機の座席にちょこんと座っていた。
先ほどから相良のお世話係の人たちがてきぱきと飲み物を用意したりおしぼりを用意したりと動き回っている。相良から、このチャーター機は相良家(会社)の専用機であり、昨晩早急に手配して今日1日自由に使えるようにしておいたと聞いた。
本来ならばもっと事前に手配しなければならないようだが、無理を言って(金と権力に物を言わせたとも言う)なんとか間に合わせてもらったそうだ。ただ、そう説明を受けても一般人の瑛斗には全くピンとこなかったが。
「なあ、なんでボティ―ガードがいんの?」
ふと疑問に思って聞いてみる。確かに並外れた金持ちみたいなので、用心にボディーガードを付けたのかもしれないけれど。ここに来るまでは誰かが相良の近くに付いているような気配もなかったし、どうやら四六時中一緒にいるわけではなさそうだった。
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