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第8話

静寂が、埋め尽くす。 日も山の向こうに姿を消して、しっとりとした闇が竹林の中に入り込んだ。 未だ動かぬ白牙天と、赤い杜鹃花を全身に浮かび上がられた睿と。 二人の息づかいさえ、静寂が飲み込んでいく。 「……ん」 「苦しいか? 白牙天」 睿は身も心も、自分自身でない感覚に陥っていた。 勝手に言葉が口から紡ぎ出る。 体が勝手に、白牙天に寄り添う。 睿の意識は明白極まりなく、誰かに乗り移られたとかそんな様子でもないのに。 体の火照りを感じれば感じるほど、本能が目覚めていく……无花果の血が湧き上がる。 ……なんでだろう。 白牙天が、欲しくて……欲しくてたまらない。 あの時、体に杜鹃花が現れた時。 白牙天は僕が、欲しいと言った。 僕の本能はそれに応えたに違いない。 目の前で息も絶え絶えな白牙天の、命数を延ばす術を知っている。 睿の頭も体も、それは承知していると……そう、言ってるのだから。 睿はもう一度、白牙天に唇を重ねた。 体から湧き上がる无花果の力が熱になって、口を、舌を通して、白牙天に流れ落ちていく。 その瞬間、白牙天の体中にできた傷がうっすらと、そして徐々に消えていくのが分かる。 「なかなか、効きが悪いな……」 羽織った着物をたくし上げ。 睿は己の指を秘部にそっと添え、倒れている白牙天に跨った。 白牙天の道着をはだけさせると、胸から腹、腹から摩羅へと舌を滑らせる。 「……んぁ」 顔を少し歪めた白牙天が、小さく呻き声を上げた。 睿の与える刺激によって、未だ気を失っているにも関わらず。 白牙天の体は、否応なしに反応する。 完全に勃つ白牙天のそれを、睿はゆっくりと腰を落として己の体の中に咥え込ませた。 「っ……はぁ……白牙……天」 恍惚とした表情を浮かべ、体を反らした睿は、ゆっくりと腰を動かして白牙天の摩羅を己の中で擦り出す。 ……あ、あぁ……なんて、気持ちいいんだろう。 俊杰の、苦痛しかなかったそれを忘れてしまうくらい…… 。 ずっと、こうしていたい……。 激しくなる腰つき。 それに呼応するかのように、白牙天の息づかいが荒く大きくなり。 傷だらけだった白牙天の体が、滑らかな肌に変化していく。 「こんなところで……お盛んなことだな、无花果」 ザザーッと一陣の風が通り過ぎ。 静寂を打ち破るかのように、太く荒々しい声がその場に響き渡った。 三間(9m)ほど先に、突如として現れた男ーー诗涵。 片方の口角を上げて鋭く笑う诗涵は、ゆっくりと睿達の方へ足を進める。 「止まれ、诗涵」 驚く程響く睿の声に、诗涵の動きが急に止まった。 体の自由が拘束される。 睿の言葉に抗えない……クソッ!! 诗涵は必死にその声の呪縛を解こうと、体を動かそうとするが。 その四肢は微動だにせず、指一本すらピクリともしない。 声すら……自由にならないとは! 诗涵はギリッと歯を鳴らした。 「……!!」 「貴様など取るに足らん」 「……」 「そこで見ておれ、诗涵」 そう言って艶やかに笑った睿は、再び激しく執拗に腰を振る。 诗涵を凝視しながら嬌声をあげ、より体の深いところまで白牙天を咥え込んでいた。 「白牙天、起きろ。場違いな奴に、見せつけてやろうではないか?」 睿の言葉に、白牙天がうっすらと目を開けた。 どこか焦点のあっていない……微睡んだ視線の白牙が体を起こすと。 睿を抱きかかえて、地面に押し倒す。 「っあぁ……あっ……白牙天。……いいぞ、もっとだ」 白牙天が睿の体を激しく貫く。 睿は身悶えるように艶かしい吐息をはいて、白牙天とより激しく睦あう。 それでも睿は、恍惚とした表情のまま笑みを浮かべて、诗涵を威圧して言った。 「諦めよ、诗涵。貴様は无花果の力を手にする器ではない!!」 瞬間、眩すぎる激しい光が当たりを包んだーー。

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