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第41話 ※無理矢理(未遂)
キスを阻んでくれたあの人は誰だったのだろう。
手を掴んでくれた。
般若の様に恐ろしい顔だったのに、凄く安心した。手を離さないで連れて行って欲しかった。
なのに……
来賓客の可愛いΩを連れ去って行ってしまった。
確かあの子は白の王国の中でも一級のΩだった筈。
やはり欲しいなら優秀なΩか。
女性の方が孕みやすいし……
でも、なら何故俺の手を掴んだんだ……
裏柳は何だかムカムカしてきた。
そんな事より、あんな大事件が起こった直後だと言うのに、何も無かったかの様に式が進みそうになっている事も意味が解らなかった。
「さぁ、誓いのキスを」
そう祭司からも催促の言葉が出る。
「どうしたんだい裏柳。もっと此方に寄って、顔を傾けて目を瞑るんだよ?」
誓いのキスの方法忘れちゃった? みたいな顔をしている白亜。
キスなんてしてる場合では無いだろう。
「待ってください、今の乱入者を探さなくて良いのですか? 一人女性が連れさらわれたんですよ?」
「ん? 何を言っているんだい??」
慌てる裏柳に、首を傾げる白亜。
「神隠しかい?、最近多いね。でも君じゃないなら良いよ。ほら、皆静かにしている。式を進めよう」
「何を言っているんです。結婚式なんて挙げてる場合じゃないでしょう!」
「君も本当に話の解らない子だね」
白亜は痺れを切らせ、裏柳の準備を待たずに無理矢理口付けをする。
これが誓いのキスになるのだろうかと言う強引な態度であったが、祭司は良しとした様で、拍手をして婚姻を認めてしまった。
来賓客も祝福の拍手をし、白い鳩が空に放たれた。
え?
裏柳は急な展開にポカーンてしてしまう。
裏柳が呆然としている内に、式は終わりった。
白亜は「疲れている様だから部屋で休んで」とだけ言って挨拶回りに行ってしまう。
従者に連れられ、裏柳は部屋に通された。
何だろう、香を焚いているか。
本当に疲れていたらしく、睡魔に襲われ、漆黒はドレスを脱ぐとベッドに入り、そのまま眠ってしまうのだった。
ギシッ……
ベッドが軋む音と感覚に目を開ける。
「本当に王子様のキスで目が覚めるんだね」
「白亜様?」
気づけば白亜に押し倒されている。
「服を脱いで待っていてくれるなんて、思いの外、君は大胆なんだね」
フフッと微笑む白亜。
「そんなつもりじゃ…… あれ?」
何だか頭がボーッとする。体が熱い。
自分はどうしてしまったのか。
「香が効いたかな? Ωの発情を誘発させる香りなんだ」
「なっ……」
「裏柳は処女だろ? 発情していた方が苦痛が少なくて済むからね」
白亜は裏柳の腰の辺りを撫で、胸元に口付ける。
「凄くいい匂いだね。鈴蘭か。君らしく上品で愛らしい香りだね」
そう、うっとりた表情で匂いを嗅ぐ。
「イヤッ、やめろ!」
首元に唇が来ると、番にされる恐怖から思わず拒絶してしまう裏柳。
「怖かったかい? ゴメンよ。大丈夫、まだ番にしない。感情が高ぶらない内は上手く行かないからね。君が僕の子供を孕みたいと思った時でないとね?」
白亜は裏柳をあやすように首筋にキスをした。
裏柳は恐怖で震えた。
怖い。
嫌だ。
番にされたくない。
孕みたくない。
この人じゃない。
そんな感情が襲う。
「裏柳、可愛いよ。僕の番」
「嫌だ、無理。白亜、怖い」
裏柳は怖くなり、白亜を拒絶する。体が震え、冷や汗が流れた。気持ち悪い。
「大丈夫だよ。ほら、ここ、気持ちいいでしょ?」
胸を撫で、乳首を噛む白亜。
気持ちよくない。怖い。
裏柳は嫌だ嫌だと首を振る。
「嫌じゃないでしょ裏柳、ほら気持ちいいよ」
そう言って乳首を摘まれても気持ちよくないものは気持ちよくないし、気持ち悪い。
無理……
「ゔっ……オエッ……」
裏柳は吐きそうになって口をおさえる。
「うーん、乳首は苦手なのかな? お尻はどうだろうね?」
「ヒッ!!」
ツンと、アナルを突かれ強張る裏柳。
「少し濡れてけど、これじゃあ厳しいか…… でも大丈夫だよ裏柳。ローション用意してあるからね。凄く気持ちよくなる薬入れてあるから裏柳も凄く気持ちよくなってね。早く僕の赤ちゃん孕みたいよね?」
「イヤ……やめて、孕みたくない。イヤだ」
「ちょっと冷たいかも、我慢してね。裏柳は僕の赤ちゃん孕みたいもんね」
「ヒッ、イヤだ! イヤだ!! ウエッ……」
アナルの中にローションを流し込まれる。ヌルヌルしてて気持ち悪い。
嫌でたまらない。
裏柳は何度も嗚咽してしまう。
「裏柳、お尻ヌルヌルだね。これなら指が入るよ。ほら、入っちゃうね。気持ちいいね?」
「イヤだ気持ち悪い。オエッ……ウウ」
裏柳は泣きながら吐き気を堪えた。
「やっぱり裏柳はβよりだから少し難しいのかな? ちゃんと発情出来てるのにエッチは苦手なんだね。可愛いな。でも、もうちょっと素直になってね。僕の言うとおりに言うんだよ?」
「イヤだぁ……」
「僕に逆らうのかい?」
ポロポロ泣きながら拒絶する裏柳に、白亜の声に怒りの色が出る。
「……ごめんなさい」
裏柳は謝罪を口にした。白亜は王で、自分はΩで婚姻して、セックスするのは当たり前である。
ちゃんと言う事を聞かなければならない。
「裏柳は良い子だね」
白亜は裏柳の頭を撫でると、優しく口付ける。
「いいかい裏柳、裏柳は僕の赤ちゃん孕みたいだ。お尻の穴をイジられると気持ちよくて堪らない。乳首を摘まれてると喘いでしまうんだよ」
「私は……白亜の赤ちゃん孕みたい……」
「そうだよ。お尻の指を増やそうね」
「イッ……嬉しいです……オエッ……キモチイイ」
「乳首も摘んであげようね?」
「アンアン」
「もっと可愛く喘いで欲しいな」
「オエッ……」
本当に吐きそうだ。
暫くお尻を弄る白亜に、キスをされたり、乳首を噛まれたり、キスマークをつけられる等され、その度に吐き気をおさえて「アンアン」言っていたが気持ちよくも無いのに喘げない。
苦痛の声が漏れるだけだ。
「もう欲しいかな? 裏柳は僕の赤ちゃん欲しいもんね?」
「はい、欲しいです」
「じゃあ、そろそろ一つになろうか。僕の赤ちゃん孕めるよ嬉しい?」
「嬉しい……」
指を引き抜いて己を押し当てる白亜。
ああ、もう駄目だ。
あの人な何故俺を助けに来てくれないのか、俺が嫌いになってしまったのだろうか。
あの人って誰なんだ。
ただただ悲しい。
先っちよが入ってくる感覚に裏柳は恐怖と嫌悪感が耐えきれなくなった。
「イヤだああーー!!!」
「うわぁ!!」
思わず白亜を突き飛ばすと、反射的にベッドのシーツを掴んで部屋を飛び出してしまった。
「裏柳!!!??」
予想外の出来事にポカーンしてしまう白亜であったが、直ぐに人を呼ぶために声を上げる。
「誰か!! 裏柳を捕まえろ!!」
白亜の叫び声に気づき、追手がつく。
何処に逃げれば良いかなんて解らないのに、裏柳は迷いの森に向かって走っていた。
何故か解らないが、迷いの森に入ればあの人が助けてくれる。
あの人が誰だか解らない。
でも助けてくれる。
そうな確信があった。
秘密通路に逃げ込む。
秘密通路は入組んでいるために正確に理解しているのは裏柳ぐらいだ。
追手を巻きつつ、裏柳は迷いの森を目指した。
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