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2.小さな神様4

 連れて来られたのは、近くのコンビニ。  少年は立ち止まってキョロキョロすると、建物の前にあるベンチを指差して、ここで待っていろと良い残し中へ入る。  ベンチに腰掛け、彼が戻るのを待っている間に携帯電話を開く。残念ながら充電が切れ画面は真っ暗だった。携帯電話も使えなくなってしまい、いよいよどうにもならなくなってきた。使えなくなってしまったそれを制服のポケットに突っ込んでため息をつく。同時に、ぐうと腹が空腹を訴えた。 「すまん、またせたな!」  暫くして戻ってきた少年の手には、ふたつの肉まん。彼は隣に座ると、その片方を差し出してきた。 「ほら、いっしょにたべるぞ!」 「あ、ありがとう……ございます……」  笑顔で何の躊躇いもなく食事を恵んでくれた小さな少年が、神に見えた。自然と口から敬語が溢れ出る。  ぱくり、と大きな一口でそれに齧り付く。温かくてふわふわで、溢れ出した肉汁が口の中に広がる。美味い、と感じた時には涙が溢れ出していた。 「うん、うまい! ほんとはよりみちはダメだといわれてるから、だれにもナイショにしてくれ……えっ?! どうした?! なんで泣いているんだ?!」    隣でボロボロと涙を流す七海に、少年はあたふたとしている。  手の甲で涙を拭って鼻を啜りながらも食べることを辞めない七海の姿を、少年は驚いた様子で見つめていた。 「なんだ……おれより大人なのに、肉まんたべたことなかったのか……? 泣くほどうまいか……?」 「うぅ……美味い、です」 「おれのも食べるか?」 「……ありがとう、ございます」 「そんなにいそいでたべると、のどにつまるぞ。ほら、お茶もやる」  すぐに平らげてしまった七海に、少年は自分の分の肉まんを差し出した。そしてさらにランドセルの中から水道を取り出し七海に渡す。その中身を一気に飲み干した。火傷しないようにとぬる目に作られたお茶だったが、そのほんのりとした温かさが身体に染みて、また涙が溢れ出る。 「どこかいたいのか? つらいことがあったのか?」  椅子の上に乗り上げて、自分より高い位置にある七海の頭や背中を小さな手でよしよしと撫でる。  なんの見返りも求めず、素直に情を振りまくその小さな手は温かくて、じんわりと心が温まる。  あんな事があっても平気だと思い込んでいたが、本当は辛かったのだ。どうしたら良いのか頭が回らず、体と心が悲鳴を上げていた。優しさと温かさに触れた今、我慢していたものが溢れて止まらなくなってしまった。

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