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13.嘘1

 目を覚ますと朝になっていた。いつの間にか布団の上にしっかり寝ていて、隣で晴太郎がすやすやと眠っている。布団の上まで運ばれた記憶はあるが、それ以降のものはだいぶあやふやだ。どうして彼が同じ布団の中にいるのだろうか。  起き上がるとガンガンと叩かれるような酷い頭痛がし、眉間に皺を寄せる。情けない姿を見せてしまったこと、いっそ夢だったら良かったのにと思う。しかしこの頭の痛みが、昨日の出来事が夢ではなく現実の事だと訴えてくる。  とりあえず色々頭の中を整理しなければ、と布団から出て洗面台で顔を洗う。ばしゃばしゃと冷水を浴びるように洗っていると、だんだんと頭の中がはっきりしてくる。昨日のことは、どこまでが現実でどこからが夢なのか。風太郎が来たのはたぶん現実なので謝らなければならない。晴太郎と大事な話をしたのだが、あれは夢だったのだろうか。  布団のある部屋に戻ると、晴太郎が起きていた。小さく欠伸をして眠たげな目を擦っている。 「晴太郎様、おはようございます」 「あ、七海! もう大丈夫なのか?」 「はい。昨日は、本当に申し訳ありませんでした……」 「いや、いいんだ。平気そうで良かった……」  ホッとして胸を撫で下ろす晴太郎を見て、七海は宗が痛む。こんなにも主人に心配をかけて、自分は一体何をしているのだ、と。 「晴太郎、七海。部屋入るよ」  コンコン、と控えめなノックの直後、返事を待たずに風太郎が入ってきた。確か、昨日の情けない姿はしっかり見られていた気がする。かなり気不味いが、ちゃんと謝らねばならない。畳の上で正座して、風太郎に向かって深々と頭を下げる。 「風太郎様、昨日はご迷惑をお掛けして……申し訳ありませんでした」 「え、いいよ、僕が勝手にやっただけだし……顔、あげてよ」  七海が思っていたより風太郎は気にしていない様子でホッとした。顔を上げると、頭痛薬の箱を渡された。 「使うかな、と思って持ってきたんだけど……」 「何から何まで……すみません、助かりました」  今日はわざわざこれを届けるために来てくれたらしい。二日酔いのせいで頭痛が酷かったので、かなりありがたい。 「でも、水がないから……晴太郎、下の自販機で水買ってきてくれる?」 「うん、わかった!」 「坊ちゃん、いいですよ。そのくらい私が自分で……」 「七海、まだ本調子じゃないだろ? 俺が行って来るから、待ってろ!」  いくら主人の兄が言った事でも、さすがに主人にお使いをさせることなんて出来ない。七海はあわてて彼を止めたが、晴太郎は部屋を出て行ってしまう。  風太郎と部屋に二人残された七海。ぱたぱたと晴太郎の足音が完全に聞こえなくなると、風太郎が声を掛けてきた。

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