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22.熱くて熱くて、あたたかい4

「は、ぁ……七海、何して……」  不審な動きをした七海に、晴太郎は声を掛けるが、七海が手にしたものに気づき、目を丸くして固まってしまった。 「なんだよ……やる気なさそうな顔してたくせに、準備してんだな……」 「えっと、まあ……念には念を、と言いますか……」 「ふーん……いいけど」  七海が手にしているのは、ローションのボトル。それが、何のためにどうやって使われるものなのか、晴太郎は理解しているようだ。少し黙った後に、頬を赤くしてふいとそっぽを向いてしまった。 「……期待してたのは、俺だけじゃなかったんだな」  よかった、と消えそうな声で呟いた晴太郎に、胸がぎゅうっと締まるのを感じた。  ――かわいい、いとおしい、とうとい、だいすき。そんな感情が一気に押し寄せて、心臓が爆発してしまいそうだ。  そっぽを向いて口をとがらせて、拗ねているように見せているが、耳まで赤くしているせいで照れているのだとすぐにわかってしまう。 「七海、どうした……?」 「……いえ、何でもありません」  気を抜いたら口角が上がってしまいそうになるのを、ぐっと唇を噛んで耐えた。高ぶった気持ちを落ち着かせるために、大きく深呼吸をする。――そうだ、今は行為の最中なのだから。落ち着いて、もっとスマートに。  ボトルのキャップを開け、とろりとした中身を手のひらにたっぷりと出して温める。その様子を晴太郎が緊張した眼差しで見つめていた。強がってはいるが、たぶん不安なのだ。その証拠に、太腿を撫でるとぐっと体が強張った。 「ゆっくり、やりますから」 「う、うん……」  安心させようと、また唇に啄むようなキスを落とすと、晴太郎もそれに応えるようにちゅっと七海の唇に吸い付いた。おずおずと彼の両手が背中に回されぎゅっと力が入る。晴太郎がキスに気を取られているうちに、温めたローションを彼の窪みに垂らす。びくりと身体が大きく跳ねた。 「ん、っ!」 「大丈夫ですか?」 「うん……大丈夫、びっくりした、だけ」  くっつけた唇同士から声が漏れた。ローションの未知の感覚に、晴太郎は戸惑っている様子だ。ぬるぬると彼の肛孔を撫でるようにしてローションを塗り込む。くるくると窪みの周りを指で撫でると、そこが彼の呼吸に合わせひくひくと動いているのがわかる。指の腹で穴に触れて押し込むように軽く力を入れると、そこがちゅっと指に吸い付いた。もう大丈夫だろうか。 「身体、力抜いてください」 「うん……うっ、く、ぅ……っ!」  つぷり、とローションに入れた指先を彼の中へ入れた。くちゅクチュと入り口を撫でるように何度か小さく抜き差しして、ゆっくりと奥へ奥へと指を進める。

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