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3.我慢できない4
ガツガツと奥を突き上げるたびに、晴太郎の口からは甘い声が漏れ、彼の自身からはぴゅ、ぴゅ、と少量の精が飛び出す。
七海が動く度、ギシギシと悲鳴をあげるシングルベッドが、この行為の激しさを語っている。
「ぅあ、っ、あっ、はぁ……っ、だめ、くる……っ、またっ、イく、ぃ……っ!」
「は……っ、私も、もう……く、ぅ!」
「い、っ、あああぁぁ……っ」
晴太郎の中はぎゅうぎゅうと七海のものに絡みつく。もう七海も限界が近い。晴太郎の奥へ出そうと最奥目掛けて突き上げると、彼はピンと背中を反らし、腰をガクガクと震わせて絶頂を迎えた。七海もほぼ同時に、彼の最奥へ熱い精を吐き出した。
「はあ、ぁ……」
「ふぅ……は、晴太郎さま?」
七海の上に跨っていた晴太郎の身体から、かくんと力が抜けた。そのままフラッと後ろに倒れそうになったので、七海は慌てて彼の背中を支え、ゆっくりとベッドに寝かせてやる。
その際にゆっくりと彼の中から自身を引き抜くと、こぷりと奥で放ったものが溢れ出た。
「すみません、無理をさせてしまいました……大丈夫ですか?」
最後に出さずに達したせいか、どうやら意識がはっきりしていないようだ。以前、彼は後ろだけで達すると気持ち良すぎてしんどい、と言っていた。頭の中がふわふわと浮いているような不思議な感覚に包まれ、何も考えられなくなるらしい。たぶん、今もその状態に陥っている。
何か言葉を発するわけでもなく、今にも眠ってしまいそうな、とろんと蕩けた顔で七海のことを見上げている。
汗で額に張り付く前髪をそっと払って、ちゅ、と額にキスを落とす。
「可愛い……好きです、晴太郎様」
払うついでに頭を撫でてやると気持ちよさそうに目を瞑り、七海の手に擦り寄ってきた。
「ん……おれも、好き……そうすけ……」
「…………へっ?」
——今、名前を?
消えてしまいそうなか細い声だったが、確かに『そうすけ』と名前を呼ばれて、どきっとした。
不意打ちのせいで空気の漏れる音のみたいな声が出てしまった。下の名前を呼ばれたことなんて、今まであっただろうか。いや、ないはずだ。
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