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第3話

「うん、いつものアレだよね?」  本当はすごくドキドキするんだけど、でも赤ずきんくんが喜んでくれるなら、ボクも嬉しい。  だからボクは、コクンとうなずいて、赤ずきんくんに身をゆだねる。 「はぁ~、やっぱいいわ~」  ……スリスリ、スリスリ。  ボクの身体を抱きしめて、顔を頭にくっつけて、スリスリされる。  ......とても気持ちいい。  赤ずきんくんからシャボン玉の匂いがする......。  ボクはうっとりと目をつむって、赤ずきんくんが気のすむまでこうやってスリスリされるんだ。  本当はね、ボク知ってるんだ。  赤ずきんくんは、ボクの、この『ふわもこ』な毛が好きなこと。  だから赤ずきんくんは、みんなからイジメられているボクを助けてくれるんだってこと......。  赤ずきんくんはこうやってスリスリしてくれるけど、けっしてボクを好きなんじゃなくって、彼はただ、ボクの『ふわもこ』が好きなだけなんだ......。  そう思うと、ものすごく胸がズキズキする。  手当てされる前よりもずっと痛くなる。  赤ずきんくんを想っている胸も、考えている頭も、どこもかしこも、痛いんだ。  だけど、そもそもボクが抱く、『好き』っていう気持ちは、同性の赤ずきんくんに抱いちゃいけないものだから、だから仕方ない。  ボクが、勝手に赤ずきんくんを好きになっただけなんだもん。  こうしてボクは、赤ずきんくんには一生言えない想いを胸に秘める。  そんな毎日がずっと続くと思っていた。  だけど事態はある日、急に変わった。  お日さまが空高く昇るお昼。  村に住む大人たちがみんな森の集会で村を留守にしていた時だ。

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