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第4話
「や~い、弱虫狼~」
「泣き虫狼~~」
「うわ~ん、痛いよ、やめてよっ!!」
ボクはいつものように、みんなにイジメられていた頃、赤ずきんくんの悲鳴が家から聞こえたんだ。
何事かと思って、赤ずきんくんの家に行ったら......。
「離せよっ!! このっ!!」
クマさんみたいに大きい知らない人間に、赤ずきんくんがかつがれていく姿が見えた。
これって、これって……。
大変だ!! 人さらいだ!!
クマさんみたいな人間の手には猟師が持つ長い銃がある。
......正直、ものすごく怖い。
ボクと一緒にやって来た兎くんと狐くんは、隣で腰を抜かしている。
……怖い。
できることならこのまま、何も見なかったことにしたい。
でも、そうしたら、赤ずきんくんはどうなっちゃうんだろう。
ボクは地べたに這 いつくばりながら、赤ずきんくんをかついでいるクマさんを追った。
そうしたら、クマさんは分かれ道のところで仲間と合流した。
ううっ、怖いよ。もうひとりの人間もクマさんみたいな姿をしている。
「こいつ、すげぇ上玉だな......」
赤ずきんくんを下ろし、手首を縛ってそう言うひとりのクマさんは、赤ずきんくんのアゴを持ち上げて品定めをしていた。
「ぺっ!!」
そんなクマさんに、やっぱり赤ずきんくんは赤ずきんくんだ。
どんな状況でも、とっても気が強い。
クマさんの顔に唾を飛ばした。
「うわっ、汚ねっ!! てめぇ!!」
怒ったクマさんは、ただでさえ両手首を縛っている赤ずきんくんの腕を頭上に持ち上げて、押さえ込んだ。
「一回、大人しくしてもらうぜ」
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