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第5話
ニヤリと笑ったもうひとりのクマさんも賛成したみたいに赤ずきんくんの両足を開かせると、『でっぷん』ってしている身体を間に挟み込ませて、華奢 な腰を持ち上げた。
「離せよっ!! 汚ねぇ手で、俺に触るんじゃねぇ!!」
腰をくねって反抗する赤ずきんくん。
だけど大の男に、しかもクマさんみたいに大柄な奴に両手足を掴まれているから抵抗さえもできない。
「威勢だけはいいじゃねぇか」
「今にその罵声も、色っぽい声に変わるぜ?」
いったいクマさんたちは何をする気なんだろうか?
ボクは、ガクガク震える身体を地べたに這わせて、クマさんたちに見つからないよう、ちょっとずつ近づいていく……。
「っ、いやぁっ!!」
ふいに、今までとは違う、赤ずきんくんの声が、ぼくの耳に届いた。
顔を上げれば、クマさんは赤ずきんくんの一物があるソコを、ズボンの上から触っていた。
赤ずきんくん!?
「っつ!」
大変だ。赤ずきんくんのピンチだ!
動け、ボクの身体!!
ボクは自分に言い聞かせて震えるばかりの腰を持ち上げ、クマさんに似た図体をしたふたりに突進していく。
「うわああああっ!!」
赤ずきんくんの足を持っていたクマさんを押し倒し、もうひとりのクマさんも同じようにして突進する。
赤ずきんくんを奪い返した。
抱え上げた赤ずきんくんの身体は、ものすごく震えている。
いつも強気な彼の姿はどこにもない。
こんな赤ずきんくんを見るのははじめてで、大好きな子が震えているのを見るのはものすごく腹立たしい。
なんか、ものすごくイライラする!!
ボクが今まで感じたことがなかった感情 が奥底から込み上げてくる。
「うわっ、なんだお前は!!」
「てめぇ、ガキのクセに俺らに歯向かおうってのかよ!!」
銃を手にしたクマさんにも似た男ふたりは銃口をボクに向けてくる。
正直、怖い。
すごく怖い。
でも、でもでもっ!
赤ずきんくんは誰にも渡さない!!
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