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第8話
ボクは自分の腰に巻きついた赤ずきんくんの手を外そうとした。
「いやっ、やだっ!!」
それでも、やっぱり赤ずきんくんはまだ怖いみたいで、ボクから離れようとしない。
「赤ずきんくん......あのね?」
「いや、ヤだ!!」
ボクが話しかけても、赤ずきんくんは首を振るばかりだ。
どうしよう、どうしたらいい?
傷つけたくない。
赤ずきんくんをこれ以上、傷つけたくないよ......。
「赤ずきんくんっ!!」
ボクは赤ずきんくんの腕を掴み、細い身体を持ち上げる。
そうしてわかったのは、赤ずきんくんはボクよりもずっと軽いっていうことだ。
ボクは赤ずきんくんを地べたに寝転がせると、組み敷いた。
「あ、いやっ!!」
赤ずきんくんの身体が震えた。
きっとさっき、クマさんにされたことを思い出しているからだ。
「ボクが怖いでしょう? ......だから、もう会わない方がいいんだよ。ボクは、赤ずきんくんをこうしたいってずっと思ってたんだから......。ボクはあのクマさんたちと一緒なんだ」
ボクは、小さく震える彼から手を離した。
......ハズだったんだけど......。
えっ?
ボクのところだけ重力が働いて、また赤ずきんくんの上に被さった......。
何?
何が起こってるのっ?
頭が真っ白になっていると、ボクの口に、生あたたかい何かが当たった。
チュッ。
リップ音が聞こえた。
「ほっ、ほぎゃああっ!?」
ヘンな声を出したのは、もちろんボクだ。
だって、だってだってだってだって!!
赤ずきんくんの口とボクの口が、重なってしまったんだ。
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