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第9話

「ご、ごめっ!!」  赤ずきんくんに引っ張られた拍子に、ボクは赤ずきんくんの唇を奪っちゃった。  慌てて飛び退こうとするのに、だけど赤ずきんくんの手がボクの腕に巻きついて離れない。 「えっ? えっ? ええっ?」  動揺を隠せないボクの心臓は、もうバックンバックン言ってる。  だって、とっても大好きな赤ずきんくんとキスしたんだよ?  動揺しない方が無理っていうもんだ。  狼狽(うろた)えているボクの下では赤ずきんくんはとっても小さな声で、ぼそりと、「それでもいい」って言ったんだ。  それでもいいってどういうこと?  我慢するっていうこと?  ボクと友達でいられるのなら抱かれてもいいっていうこと?  ボクは......。 「よくないよっ!! ボクは赤ずきんくんが好きなんだよ? ものすごくひどいことするかもしれないんだよ?」  ボクの大好きな赤ずきんくん。  その彼が自分のことをどうでもいいように言うのは、とても悲しい。  だからボクは今までに出したことがないくらい、大きな声を出した。  んだけど……。 「いいんだよっ! 俺もお前が好きだからっ!!」  赤ずきんくんは顔を真っ赤にして(うつむ)いた。  ――えっ?  好き?  好きって......えっ?  えええええっ!? 「ほんと......に?」  俯く赤ずきんくんの顔を覗けば――......。  いつも白い肌をしたかわいい顔が真っ赤になっていた。  その顔を見たとたん、ボクの顔も真っ赤になる。  顔から火が出るほど恥ずかしい。  ......どうしよう。  やっぱり狼狽えるボクに、赤ずきんくんは袖をグイグイ引っ張って、耳元に(ささや)きかけてくる。

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