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第4話

「っひ、っく、っふぇ……」 「大丈夫?」  あんなに叩いたりしたのに、狼くんはやっぱり優しくて、自分が恥ずかしい。  自分のことばかり考えて、叩いたりするのはいいわけないのにっ!! 「っひ、ごめっ、なさっ! たくさん叩いたりして、ごめっ、なさいっ。ごめんなさいっ!!」  大好きな人に弄ばれたその日――。  いじめていた狼くんへの罪悪感もあって……。  僕はその日。一日中、ずっとずっと泣いた。  次の日、あまりに泣きすぎて、瞼が腫れぼったくなった。  お母さんとお父さんにはどうしたんだと()かれたけれど、当然、理由を話せるわけもなく、僕はひたすら首を振り、なんでもないと言い張った。  どうやったら狐くんと元の仲に戻れるだろうか。  昨日からそればかりを考えている。  けっきょくは、どんなことをされたって、僕は狐くんのことが大好きなんだ。  自分の気持ちをあらためて思い知らされる。  とぼとぼと村をさまよい歩いていると、昨日、狐くんに押し倒された芝生に来てしまった。  ……戻ろう。  ここにはイヤな思い出しかない。  (きびす)を返そうとしたら、大好きな狐くんが誰かと話している声が聞こえた。  僕の足は自分の意志とは関係なく、勝手に動き、大好きな彼を求める。  間もなくして、僕はふたつの影を見つけた。  目の前にいたのは、狼くんと、狐くんだった。  ふたりの様子からして、狐くんは狼くんをいじめている気配はない。  だったらいったい、どうしたんだろう。  僕は慌てて近くにあった、木の陰に隠れ、ふたりの様子を(うかが)った。  すると突然、狐くんは腰を折り曲げ、目の前にいる狼くんに頭を下げたんだ。

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