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第6話

 僕は胸がドキドキするまま、木陰から一歩。足を踏み出し、日向に出た。 「おまっ、なんでここにっ!?」 「……僕、嫌われてなかったの?」  声が震えてしまったのが自分でもよくわかる。  それくらい、さっきの狐くんの言葉が嬉しいんだ。 「んな、わけねぇだろっ。俺は兎が好きだよ」 「……っつ、ぼく、僕も、好きっ!! うえええんっ」  にこにこ、にこにこ。  他人のことなのに自分のことのように微笑む狼くんに見守られながら、僕は狐くんの腕の中で、たくさん泣いた。 「なあ、やっぱ、流されてないか?」  僕と狐くんが両想いだということを見届けたすぐ後、狼くんはすぐにいなくなった。  気がつけば、僕は狐くんとふたりきりで、この場所にいる。 「……流されてない」  大好きな狐くんに(たず)ねられ、僕はむすっと頬を膨らませた。  だってね、さっきからそればっかりなんだもん。  もうっ! どうしてわかってくれないかなっ!!  だから僕は、狐くんに想いを知ってもらうため、手を伸ばし、狐くんの唇を奪った。  狐くんの息が止まる。  だけど、それはほんの一瞬で、その後は、すぐに立場は逆転した。  僕は狐くんに押し倒された。  お日さまの光を浴びた緑の芝生が背中に当たる。  昨日のようだけど、今度は違う。  だって、狐くんに想われているって、実感しているから……。  僕は広い背中に腕を回し、より深いキスを強請る。 「んぅ……」  ずっと唇を塞がれているから息苦しくなって口を開けると、狐くんの舌が滑り込んできた。  狐くんの舌が、僕の口内を蹂躙する。  舌と舌が交わって、絡め合えば、背中がゾクゾクする。 「……っふ」  僕の口から、女の子みたいな声が漏れた。 「ここ、膨れてる。兎は可愛いな……」 「あっ、んっ」

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