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夢か現実か②

「やぁ、結城君。席についてくれ。」 豪華絢爛の生徒会室。 会長席で優雅に紅茶を飲みながら笑う生徒会長にちびりそうになる。 席ってどこだろう。 俺地べたに座れってこと? そういうこと? 「ソファに座っていいんだよ。」 悪魔三人衆の1人が告げる。あのピカピカのソファに座れと。汚したら罰金とか言われそう。だけど、座らないのも不敬罪だなんだ言われそう。 ここは素直に座ろう。 汚れてもしらんからな。 「さて、なぜここに呼ばれたか君は理解しているよね。」 「へっ…。」 「なんだ、忘れたのか?結城。これだから貧乏人は忘れっぽい。」 忘れた? 何を忘れた。 俺が何をした。 「アルバイトの件だよ。」  「えっ、嘘だ!!夢じゃ…。」 「夢ぇ?ふふっ、面白いこと言うね。夢じゃなくて現実だよぉ?」 う、うそ。 嘘だ。 なら、なんだ。 俺、退学…。 「頼む!!この通りだ。退学だけは勘弁してくれ。なんでもするから。頼む!!」 「なんでも?」 誰かの口から繰り返された言葉。 あれ? 俺ひょっとしてまずいこと言った? 「そうか。それは良かった。退学はさせないよ。その代わり条件がある。」 「条件?」 「ああ、君が生徒会の所有物になること。それだけだ。」 「所有物…?」 「奴隷ってこと。」 奴隷ってそんな。 「嫌に決まって…。」 「安心して。君が生徒会の所有物になることで君にも得することがある。」 「得…?」 「そう。まず表向きは生徒会の庶務として働いてもらう。つまり生徒会専用の寮に住むことになる。もちろん寮で暮らす為の生活費利用費に関してはこちらで払う。」 生徒会寮。 一般生徒は決して立ち入ることが出来ない生徒会専用の寮。寮とは名ばかりで高級マンション並みの設備を要しており、噂では有名シェフが手がけるレストラン、プールやジム、娯楽室等が管理されているという。 寮の費用はバカにならない。うちの一月でかかる生活費の何千倍。それをタダで利用できる。 人1人いるだけで金がかかる。 光熱費とか食事代とか。 それが減るって俺が汗水流して稼ぐより断然母さんを楽にできるかも。 ゴクリと喉が鳴る。 「それと、君の家は多額の借金を抱えているみたいだね。駄目なお父上だ。」 「まさか…。」 「その借金を肩替わりしてあげよう。それと、君のお父上を探し出して君のお母様の前に差し出そうか。もしも、会いたくないというのであればうちの優秀な弁護士を用意することも可能だ。もちろん、離婚の為の弁護費用もいらない。どうかな?君にとってもいいことじまいだ。」 あのくそったれの父親との縁が切れる。 母さんを困らせた。 それだけじゃない。 借金もなくなるってことは生活が一気に楽になる。 そんなの、断る理由なんてないじゃないか。 「でも、あんたたちになんのメリットが…。俺に何をさせる気だ?さ、流石に人殺しとか出来ない。」 「大丈夫。結城君に犯罪紛いのことはさせないよ。」 「そっか…。それなら。」 「じゃあ、この紙にサインしてくれ。」 俺は震える手を抑えてサインした。 最悪、俺が死のうが構わない。 母さんが楽になるなら。 「これで、君は俺たちのものだ。」

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