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母さん①

寮の入居は明日から。 まずは母さんに相談をしようと放課後直で帰宅した。そして、俺の横には何故か悪魔三人衆の1人、曽根柾斗がいた。 「なんでお前がついてくるの。」 「結城君のお母さんに挨拶しないとでしょ?」 「迷惑だ。」 「お母さんに仲のいい友達がいるってアピールできていいんじゃない?それに初めて息子を寮に放り込むんだ。友達が1人もいないのに心配しない親なんていないと思うけど?」 友達がいないわけじゃない!!お前らのせいで作れなかっただけだ。 入学式早々からやれ貧乏だなんだと絡みやがって。お前らのせいで友達作る暇がなかったんだよ。 って、友達いないの認めてるじゃん俺…。 でも、確かに小・中学生の時友達はいたけど家に遊びに来させることはなかった。母さんは確かに喜びそう…。 「じゃあ、来てもいいからその無駄に多いアクセサリー外せよ。俺の友達にチャラ男はいらない。」 「チャラ男じゃないよ。ファッションだよ。」 よく言う。 女遊びが酷いと学内で有名なのに。 「取り敢えず、それ外せよ。頼むから。母さんが心配する。」 「仕方ないな。まぁ、いいや。結城君が手に入るんだったらそのくらい文句は言わないよ。」 …こいつらはなんでそんなに俺を。 俺に何をさせるつもりなんだ。金なんてアホみたいに持ってる。だから金目当てじゃない。 じゃあ、俺を実験台にでもするつもりか? それとも肝臓を売り渡せ的な? 「そういえば結城君のお母さんは今日家にいるの?看護師なんでしょ?」 「なんで知ってんだよ。」 「そりゃあ、調べさせたに決まってるでしょ?」 「…。」 これだから金持ちは。 ってか金持ちで片付けちゃ駄目だろ。俺。 「個人情報だぞ。」 「所有物になるものはちゃんと事前チェックが必要でしょ?」 「所有物って…。まぁいいや。今日は夜勤だから家にはいると思う。そろそろ起きてくる頃だからちょうどいいかも。」 歩いて10分。 母さんが出かけるまで2時間以上あるし大丈夫かな。 「うわっ、ぼろっ。」 「うっせ。」 築うん十年のボロアパート。 2人で住むには十分広い。 「ただいま〜」 「お邪魔します。」 曽根の口から狭っと呟く声が聞こえた。狭くて悪かったな。 「お帰り。早かったわね。ってあら?結城のお友達?」 「はい。俺は結城君のクラスメイトで友人の曽根柾斗と言います。」 「あらあら、結城のお友達が家に来るなんて初めてだわ。狭い家でごめんなさいね。」 「いえいえ、あっ、これ少しですがもらって下さい。」 曽根は手に持っていたお菓子を母さんに渡す。思ったより曽根って礼儀正しいのな。そう考えると、あの悪魔三人衆の中では1番まともかも。 「結城?早く家に上がりなさい。」 「おおう。って違う。違う。母さん、今日は大切な話があってきたんだ。曽根にはその付き添いで来てもらって。」 「…?大切な話?よく分からないけど、お茶を入れるから少し待ってなさい。」 「うん。」

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