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寮②

エレベーターで一気に一階へ。 広いエントランスだ。 こんしぇるじゅがいるよ。 こんしぇるじゅが。 ニコニコと笑ってる。 「この人は田部さん。分からないことがあれば、田部さんに聞けばいいよぉ。」 どうもと言うと、ニッコリ笑って綺麗なお辞儀をした。慌てて俺もお辞儀する。 「ほらほら、次行くよぉ。」 そう促され、早乙女の後について行く。 エレベーターで上り、二階に。 そこはレストランになっていた。 「朝昼晩、いつでもここでご飯が食べられるよぉ。シェフに言えばなんでも作ってくれるからぁ。」 シェフだって。 シェフ。 噂では五つ星レストランで働いていたシェフだとか。 ほんとか嘘か。 嘘だと言い切れないあたり、もうこいつらの金持ち具合は見慣れてしまった。 「朝ご飯食べてないよねぇ。食べるぅ?」 ぐぅ〜と鳴る腹の音。 よくよく考えれば昨日の朝から何も食べてない。 「俺、1日何も食べてなかった…。」 「そうだよねぇ。なら、とびっきりの朝ご飯用意させるねぇ。」 そう言うや否や、早乙女はウェイターに話しかけ、何かを注文しに行った。俺は腹を押さえながら適当な席に着く。 どのくらいの食費なのかとか、もうどうでもいい。昨日の慰謝料だと思うことにした。 はぁと溜息をついていると、早乙女が目の前の席にかけた。目線を上げ、ニコニコと笑う早乙女を見てもう一度溜息をついた。 「もぉ、僕の顔見て溜息はやめてよぉ。まぁいいや。それより何か質問は?」 「…はぁ、他の階には何があるんだ?」 「えっとねぇ、また後で案内するけど、取り敢えず一個上の3階は大浴場ねぇ。」 「大浴場!?」 「うん、広くて大きいよぉ。好きでしょ?そう言うの。」 まぁ、確かに好きだ。 たまにお金に余裕があるときは銭湯に行ったりするし。 でも、大浴場か。きっとデカくていろんな設備があるんだろうなぁ。もしかしてジャグジーとかあんのかな。んで、マッサージ機とかあったりして。 「ふふふ、楽しそぉ。今晩、入るといいよぉ。」 うんっと大きく頷く。 牛乳買っとかなきゃ。 「そう言えば、買い物はどこですればいいんだ?」 「コンシェルジュに電話掛ければいいよぉ。時間指定すればその時間に持ってきてくれるし。」 流石こんしぇるじゅ。 恐ろしっ。 「もしもぉ、自分で買いたいものがあれば、車も出してくれると思うからぁ。」 俺はもう驚かないぞ。

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