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寮⑦
17時が過ぎようとしている。
約束の時間まで後1時間…。
部屋の中でうろうろする。
俺は行かなければならないのだろうか。
行きたくない。これ程まで行きたくないところなどあるだろうか。いやない。でも、行かなければならない。
俺はどうすべきなのか。
寝るか。
寝たフリをするか。
ごめん、寝てたー。
とでも言うか。
ブーブーっとバイブ音が鳴った。
「携帯?」
部屋に置いてあったスマホからのバイブ音。訳もわからず触れると、そこの画面に
『後1時間したら来てね(≧∀≦) 来なかったらお仕置きだよぉ〜(● ˃̶͈̀ロ˂̶͈́)੭ꠥ⁾⁾』
と書かれていた。
発信源は見なくても分かる。
早乙女だ。
お仕置きの意味を俺は知っている。
だから行かないという選択肢はやはりない。
はぁ…。
俺は深いため息をついた。
ジッとしていてもソワソワしてしまう。俺は仕方なしに荷解きをすることに決めた。
「あれ、そういえば掃除機とかあるのか?」
ふと思った。荷解きする前に部屋の中に何があって、何がないのか確認しなければならない。
「あー、やっぱり面倒くさい…。」
自分は母さんがいないとこんなにも自堕落な人間になるのか。いや、正確には母さんがいないとっていうか追い込まれないとやらないか。
「金持ち坊ちゃんが住んでるんだから、もしかしたらロボット掃除機みたいなのあるかもしれないなぁ。」
ふと、ソファに寝転がってた俺は立ち上がり、あたりを見渡す。
丸い形の機械。ないか、ないかと探す。
ーーあった。
ル○バだ。
かの有名な勝手に掃除してくれるロボットだ。取り敢えず起動してみた。すると、自動的に動き出した。
なんとなく、その後を追う。右に行って、左に行く。そんな馬鹿なことをしているうちに30分を経過してしまった。
「い、行かないと…。」
50分ジャスト。
ああ、行きたくない。
またしてもブーブーっとバイブ音が響く。
今度はなんだ。
『そろそろ上に上がってきてね。あっ、そうそう。このスマホは一緒に持ってきて。使い方教えるから。』
まともな文章。
恐らく曽根からのメッセージだ。
はぁ…っていうか、こいつらなんで、こう…、ジャストタイミングでメッセージ送ってくんだ。
もしかして、監視カメラ的なのがこの部屋に設置されてたりして…。
ははは、まさか…。
明日、本気で部屋の掃除をしようと決意した。
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