18 / 136

財前皐①

月曜日。 登校日。 ふかふかベッドから這い出た俺はキッチンに立つ。 昨日、こんしぇるじゅの田部さんに用意してもらった食パンと卵、ベーコンで朝ごはんを作る。 トースターあるのか? と思ったが、普通にあった。 なんか沢山機能がついてある。 電子レンジとオーブンも当たり前のように置いてあった。俺はトースターに食パンを焼き、スクランブルエッグとベーコンと共に朝ごはんを食した。 なんか、食パンがそこら辺に売ってる百何十円のものじゃない気がしたけど気のせいということにしといた。 卵がそこら辺にケースで売ってるものじゃなかったけど気にしないでおく。 ベーコンが…。 まぁ、そんなこんなで、俺はそのまま着替えて登校した。 お下がりではない新品の制服は俺の丈にあっていた。なんか、新しいのって気分が上がる。 鼻歌を歌いながら登校をしようと思ったその時。俺はあることを思い出した。否、思い出すのが遅すぎる。 「俺、ここがどこなのか知らない…。」 どこに位置しているのか分からない。 つまり、どうやって登校すればいいのか分からない。 昨晩使い方を教えてもらったスマホを取り出す。 だ、誰に連絡を取るか。 悩みどころだ。 まともな人を選ぶのであれば、会長か副会長、曽根辺りだろうか。残りの2人はなんらかの対価を要求してきそうで怖い。 ただ、副会長とは殆ど話したことが無い。 会長はなんとなく恐れ多い。 曽根か。 曽根だな。 悪戦苦闘の末、曽根に電話をかける事に成功した。 3コール目くらい。 曽根は電話に出た。 「あっ、あの、お、おはよう。俺、えっと、南だ。曽根か?」 『うーん、おはよう。早いね。結城君。あれでしょ?登校しようと思ったけど、どう行けばいいか分からないみたいな。一階で待っとけば送り迎えしてくれるから、あと30分くらい待っておいて。それじゃあ俺は寝るから…。』 「えっ、おっ、おい!」 ブチリ。 切りやがった。 ってか30分って。 いや、二度寝する気かって。 ああもう、何から突っ込めば…。 頭をくしゃくしゃにする。 取り敢えず、一階に降りた。 田部さんがおはようございますと挨拶をしてくれる。 ああ、癒しだ。 「あの、俺、学校に行きたいんですけど…。」 「はい、存じております。皆さまを送迎する車は後30分程で用意できますので、お待ち下さい。」 「いや、俺は普通に歩いて…。」 「ここから学校まででしたら、歩いて1時間程度かかりますよ?それに今回は財前様が車を用意していると伺っております。」 げっ、尚更歩いて登校したいんだが。やっぱり道順を聞こうと声を発しようとした瞬間、誰かが俺の首元を引っ張った。グエッと変な声が出る。 「おいっ、俺を置いて行こうなんざいい度胸だな。」 「んな、ばかな。」 「ふんっ、オメェが早く用意してさっさと歩いて行こうなんて考え手に取るようにわかんだよ。おらっ、車用意してやったんだ。行くぞ。」 「そんなぁ…。」 ズンズンと歩いて、例の高級車に入れられる。こんなんで登校したら目立つだろ。生徒会は生徒の憧れ。ただでさえ貧乏人として疎まれている俺はさらに嫌悪の目に晒されるじゃないか。 「…お前がいくら俺達との関係性を隠したくても無理な話だぞ。なにせ生徒会の奴隷になったんだからな。」 「どれー…。」 「それに、ただの生徒に俺達の奴隷には手出しできねぇよ。もししてきた奴がいたら、一家揃って破滅になる。それを分かってて手出しするバカはいないだろう。」 なんだ、この非常に安心感のある言葉は。 そして、不穏だ。 一家揃って破滅とか恐ろしすぎる。 さすが、この日本の将来を背負って立つ5人だ。 いや、この5人が未来の日本を背負うのは非常に恐ろしくないか? やめよう。 考えたら終わりだ。 ーーーー 昨日投稿予定にない話を投稿していました。 大変失礼致しました。 誤って投稿した話は来週の月曜日に再度投稿予定です。 今週よりR18展開が多くなるかと思います。 今後もお付き合いして頂けましたら幸いです。 2021/2/23 浅葱宇宙汰

ともだちにシェアしよう!