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財前皐②

視線が痛い。 四方八方から浴びせられる視線の数々。俺を刺し殺す気だ。 その視線は財前の車から降りた瞬間から向けられている。なんらかのアクションはないものの、その視線の中には俺をよく思わない嫌悪の眼差しを向ける者もいた。 勿論、気持ちのいいものではない。 居心地の悪さを感じながら、今日一日を乗り越えた。 そして、放課後。 俺は財前に引き摺られ、生徒会室へと向かった。 「ほら、仕事だ。」 用意された俺の机の上には数枚の書類が。何をすればいいんだ。 「お前は、この書類をまとめろ。」 「まとめるってどうやって…。」 「チッ、いいか。まずはここを…。」 意外と分かりやすく説明してくれた。なんだこいつ。俺様だ俺様だと思っていたが、意外に面倒見のいい奴なのかもしれない。 いや、俺様だけどさ。 俺は言われた通りに書類をまとめていく。それにしても、まともな仕事だ。表向きは庶務にしとくって言ってたな。もう表向きも裏向きもこれでいいだろ。 日が傾いてきた頃、財前は終わりだと俺に言ってきた。 でも、他のメンバーはまだ仕事をしている。 「俺だけ先に帰っていいのか?」 「まぁ、一緒に帰っても見せつけられるだけだしね。」 「頑張ってねぇ。」 何が…? 「帰んぞ。」 俺の心の声は届かず、またもや財前に引き摺られて行った。

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